腫瘍マーカーについて
腫瘍マーカー
がんが進行すると、健康時にはほとんど見られない特殊な物質が血液中で増加することがあります。これらは腫瘍マーカーと呼ばれ、画像検査との組み合わせによって、がん診断の補助的役割を果たします。
PSA
前立腺に特異的な腫瘍マーカーで前立腺がんで上昇します。がん以外では前立腺肥大症などの前立腺疾患で上昇することもあります。AGA治療薬を服用している場合はPSA測定値が下がることが明らかになっているのでご留意ください。
CEA
大腸がん、胃がん、膵がん、肝がん、胆道がんなどの消化器がんをはじめ、肺がん、乳がん、甲状腺がん、卵巣がんなどで上昇します。がん以外の疾患では、肝硬変、慢性肝炎、胃潰瘍、肺気腫などで上昇することがあります。また大量喫煙者でも10ng/mlを超えない程度の陽性を示すこともあります。
AFP
肝細胞がん、転移性肝がんなどで上昇します。がん以外の疾患では、肝硬変や肝炎、妊娠後期などでも上昇することがあります。
CA19-9
膵がん、胆嚢・胆管がんで特に上昇しますが、胃、唾液腺、気管支、前立腺、結腸、直腸、子宮内膜のがんでも上昇します。がん以外の疾患では、急性・慢性膵炎、慢性肝炎、肝硬変、胆管閉塞、糖尿病などで上昇することがあります。
SCC抗原
扁平上皮がんで陽性率が高く、子宮がん、肺がん、皮膚がん、食道がん、膀胱がんなどで上昇します。がん以外の疾患では、アトピー性皮膚炎、気管支炎、結核、腎不全、人工透析などでも上昇することがあります。
CYFRA21-1
肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がん)で上昇しますが、特に扁平上皮がんで鋭敏に反応します。また手術や化学療法、放射線療法の影響を受けません。
NSE
肺小細胞がん、脳腫瘍、インスリノーマ、甲状腺髄様がん、カルチノイドなどで上昇しますが、特に肺小細胞がんで鋭敏に反応します。
PIVKA-Ⅱ
肝細胞がん、閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ滞で上昇します。AFPとは相関しないため、両者のコンビネーションにより診断率が上昇します。
エラスターゼ1
膵がん、急性膵炎、慢性膵炎で上昇しますが、高値(800ng/dl以上)の場合は、ほとんどが膵がん、急性膵炎極期、慢性膵炎増悪期に限られます。
SLX
肺腺がん、卵巣がん、膵がんで上昇します。がん以外の疾患では、びまん性汎細気管支炎、肺腺維症、気管支拡張症、重症結核などでもときに上昇することがあります。
CA125
卵巣がんで特に上昇します。他のがんでは、肝がん、胆嚢がん、膵がん、子宮内膜がん、胃がんなどで上昇します。がん以外の疾患では、卵巣・子宮の良性疾患、腹膜炎、胸膜炎や月経時、妊娠初期にも上昇します。
CA15-3
乳がんで上昇します。他のがんでは、卵巣がん、子宮がん、肺がん、膵がん、胃がん、腎がん、大腸がんなどで上昇することがあります。乳腺良性疾患、婦人科疾患でも少数例で上昇することがあります。