心電図について
心臓の収縮、拡張の時に起きる微小な電流の変化をからだの表面に装着した電極から検出し、波形として記録したものが心電図です。心臓の筋肉の異常、不整脈、心臓肥大などがわかります。
心臓の刺激伝導系
主な所見
洞不整脈/洞徐脈/洞頻脈
心臓が規則正しいリズムで動いているのは、規則的に信号(刺激)を出す「洞結節」の信号に従っているからです。その信号の出方が呼吸などにより不規則となり、心臓の動きが不規則になった状態を「洞不整脈」といいますが、通常は問題ありません。また、「洞結節」からの信号の出方が遅く、1分間に44回以下のものを「洞徐脈」、信号の出方が早く、1分間に101回以上のものを「洞頻脈」といいますが、いずれも極端な数でなければ問題ありません。
期外収縮
心臓は「洞結節」から規則正しい信号を出し、その信号を正しく伝えることにより、規則正しく動いています。しかし、別の場所から信号が出ることがあり、その余計な信号でも心臓は動いてしまうために脈に乱れが出てしまいます。これが期外収縮です。心室から出るものを「心室期外収縮」、心房など心室より上の部分から出るものを「上室期外収縮」といいます。
右脚(うきゃく)ブロック
心臓は電気信号で動いていますが、心臓の右側(右脚)に行く電気の流れと、左側(左脚)に行く電気の流れがあります。右脚ブロックは、右側に行く心臓の電気刺激の進み方に遅れる部分があるということです。健康な人にもみられる現象で、通常は問題ありません。
右軸偏位/左軸偏位
心臓を流れる電気の刺激の向きを軸といいます。この軸が右に向かっている場合を右軸偏位、左に向かっている場合を左軸偏位といいます。軸偏位は心臓のわずかな部分の電気の遅れから生じることが多く、異常がないことがほとんどです。
高電位
心電図で記録される波形の振幅(ふれ)が大きい時に「高電位」といい、「左室肥大」に認められます。ただし、心臓が胸壁に近い場合や痩せていて胸が薄い場合も同様の所見となることがあり、波形の他の変形を伴わなければ通常は問題ありません。
平低T/陰性T/ST-T異常
T波、STというのは心電図の波につけられた名前です。これらの所見がみられた場合は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患が疑われることがあり、さらに精密検査が必要なこともあります。
PR短縮/WPW症候群
心臓を動かす刺激(電気)の通り道の心房と心室をつないでいる部分に余計な通り道がついている場合、このような所見となります。この場合、ごく稀に「頻脈発作(突然脈拍が極端に増加する発作)」を起こすことがありますが、そのようなことがなければ問題ありません。
房室ブロック
心臓を動かす刺激(電気)の通り道の心房と心室の間で、伝わり方が悪い場合をいいます。刺激の通過にやや時間がかかる程度のものを「第一度房室ブロック」、時々途切れるものを「第二度房室ブロック」、完全に途切れてつながらないものを「第三度房室ブロック」といいます。第一度は全く心配いりませんが、第二度、第三度は治療が必要となる場合があります。
心電図波形